釣りが趣味の人なら、釣具店で働いてみたい、または、自分で釣具店を開いてみたいなど、ちょっとした夢を持ったことがある人もいるのではないでしょうか?
今は退職しましたが、かく言う僕も、釣り好きでしたので、釣具店で働けたら毎日がどんなに楽しく仕事ができるだろうか?と期待を抱いて業界入りしました。
しかし、現実は、そうじゃなかったんですよね。
誰が言ったか、わかりませんが『趣味を仕事にするな!』とは、ホントに当たっています。
今回は、釣具店で約5年働いた僕が、収入、仕事の内容、利益、休みなどなど、当サイトの読者さんが気になると思われること、全て暴露しようと思います。
結論から言いますが、他に仕事ができないならまだしも、あえて釣具店の店員にならない方が良いと僕は思っています。
あくまで、業界を離脱した僕の意見なので、賛否両論あると思いますが、一つの考えとして受け止めてください。
Contents
釣具店の店員ってどうやってなるの?
釣具店の店員になろうと思ったら、新卒で、大手の釣具チェーン店に就職するか、コネがないとなれないです。
僕の場合は、元々、他業種で働いていましたが、当時、その仕事にストレスをかなり感じていました。
釣具業界だったら、趣味と実益を兼ねてなんとかやってけれるかも?という甘い考えで転職を考えました。
釣具店で働いてみたいと思ったとき、「安定を考えたら、大手のお店だよな」と、思ってましたが、さすがに中途を募集している釣具店など皆無でした。
僕の場合は、たまたま、個人店のオーナーさんとちょっとコネがあったので、そちら側からオファーを頂いたこともあって、めでたく?業界入りすることができました。
釣具店の仕事内容は?
釣具店の仕事内容は大まかには、以下の内容です。
- 顧客対応
- 商品の発注
- 商品の陳列
- アフターサービス
- メーカーとのやり取り
僕が勤務していたお店は、個人店でしたので売上管理などは、主にオーナーがやっていました。
また、大手チェーン店のように、売り場ごとのノルマや売上目標などもなかったので、割と働きやすい環境ではあったと思います。
ネットなどで釣具店の店員の評判について調べてみると、釣具店なんてコンビニ店員と同じ、底辺の仕事だなどといった内容を見かけます。
確かに、給料のこととか、労働時間のことを考えると、底辺と言われざるを得ない部分はあると思います。
顧客対応ってどんなことやってた?
釣具店なので、お客さんに、商品について説明したり、タックルをチョイスしたり、アドバイスをしたりしていました。
あとは、予約注文を受けたりというようなことが主に顧客対応になります。
まぁ、このあたりは、基本的には、他の小売業とやっていることは同じです。
ただ、自社ブランドの製品を扱ったりという仕事ではないので、基本的にはこちらから押し売りするようなことはなく、商品は自然と売れていきます。
商品の発注
僕は、他業種からの転職でしたので、小売業に関する知識は全くありませんでした。
釣具店に勤務する前は、商品は各メーカーから仕入れればよく、売れたら無くなったものを発注すればいいと考えていました。
今思えば、かなり世間知らず過ぎますが(笑)、実際は商品のほとんどは、問屋から仕入れています。
勤務先は個人店で、1店舗しかありませんでしたが、店舗あたりの売上はチェーン展開しているお店の1店舗~2店舗くらいの売上はあったので、ダイワ、シマノなどの大手メーカーの製品はメーカーと直接取り引きしていました。
基本的に大手釣り具メーカーは、そのメーカーの売上がある店舗としか直接取り引きしない。また、そのメーカー製品の売上がある店舗ほど、卸値が優遇されます。
これが、ほんとに小さい個人店だとメーカーと直接やり取りができないので、メーカー品も問屋経由で仕入れるというとこもあるようです。
大手メーカー製品は意外にも利益率が低いので、問屋経由で仕入れるとなると、お店にとって旨味は、少なくなります。
個人店のため、POSシステムは利用していなかったため、基本的には陳列棚をみて、商品の売れ行きや季節ごとの動向を考えて発注をします。
商品の陳列
個人店のため、大手チェーンのような、広い店舗面積はないので、限られたスペースを有効活用して商品を陳列する必要があります。
基本的には、同じ場所に商品を陳列していきます。
ジグやオモリを陳列棚付近に持っていくときは、かなり腰に来るので注意が必要です。
売れ行きのいいものは、勝手に売れていくので、高い場所に置いて、不良在庫になりそうな売れ行きの悪いものは取りやすい場所に置くなどの工夫がいります。
また、季節が入れ替わる前に商品棚を入れ替えたりという作業もしなくてはなりません。
アフターサービス
ロッドやリールの修理を受け付けます。メーカー製のものなら、ほとんどそのメーカーの修理部門へ送ります。
竿のガイド付けや、渓流竿や鮎竿などの固着外し、また購入されたリールの糸巻きなどその場でやる仕事もあります。
アフターサービスの中で、最も厄介なのが、クレームの処理です。
クレームを受け付けたときは、予め最終的にそのクレームのお客さんに対してどうするか?という落とし所を決めておかないと、頭の片隅にクレームのことが浮かんで落ち着いてもいられません。
こちらも納得できるようなクレームでしたら、誠心誠意をもって対応させてもらいますが、中にはかなりおかしなことを言ってくるお客さんもいます。
特に、買ったリールや竿に傷がついていた、持ち帰ったら竿が折れていた、リールの巻き感がおかしい系のクレームは勘弁してほしいです。
正直、購入時によく、確認しなかったのが悪い!としか言いようがありません。
村田基さん風にいうと『あんたが悪い!』
万が一、何かの拍子で元々折れていたり、傷がついていたりしても、一度持ち帰ったら、ホントにはじめから、傷ついていたのか?お客さんの過失で傷がついたのか判断が付きません。
このようなトラブルを未然に防ぐために、店頭では購入する竿やリールは必ずお客さん自身に確認してもらうということを徹底していました。
修理品を渡すときも、きちんとお客さんの目の前で修理箇所が直っているのを一緒に確認します。
ひどかったのが穂先のパーツ交換をして、目の前で一緒に確認したのに、会計を済まして、一度お店を出てからすぐに戻ってきたお客さんがいました。
お客さんの言い分としては、車に乗って見たら、穂先が折れていた。
『いやいや、さっき一緒に確認しましたよね?』
恐らく、車の扉に挟んで折ってしまったとかだと思いますが、流石にそれは僕自身も突っぱねましたし、やはりお客さんは自分に非があることを知ってた上で、ダメ元で言ってみた感があったので、突っぱねても文句をいうことなく帰っていきました。
こういう言い方はよくないかもしれないですが、とにかく修理受付をやっていると、お客さんという立場を利用して、弱みに漬け込むような方が多々いたような気がします。
自分の感覚としては、その店舗のお客さん全体のうち7割が良いお客さん、3割が質(たち)の悪いお客さんという感覚でした。
メーカーとのやり取り
釣具店で利益を得ようと思ったら、如何に安く品物を仕入れるかという手腕が問われます。
大手チェーン店の場合は、バイヤーがいるので、いち店舗の店員が仕入れに携わることはあまりないのですが、個人店の場合は常に如何に安く仕入れるかを考えなくてはなりません。
ダイワ、シマノなど大手メーカーの営業マンと駆け引きをして、如何に安く品物を仕入れるかが非常に大事です。
また、大手メーカーの営業マンは月ごとに売上ノルマがあるので、ノルマが達成できないときに、売上に貢献するなど貸しを作っておいて、何かのタイミングで安く仕入れさせてもらうなど戦略的な思考も必要です。
このあたりは、営業の仕事をやっているような方と同じ感覚だと思います。
冒頭で、釣具屋の店員は底辺だということに少し触れましたが、単に受注と陳列だけを行うだけでしたら確かに底辺の仕事かもしれません。
しかし、この如何に安く仕入れるか?とうところを考えると、一概に底辺とはいえないのではないか?と僕は思います。
釣具屋の給料はどのくらい?
さて、誰もが知りたくなる他人の給料。釣具屋の店員が幾らもらっているのか気になりますよね。
僕の場合、総支給額が概ね28万円くらい、手取りでいうと23万円くらいだったと思います。
内訳は、基本給18万円、職能給6万円、残業手当4万円くらいといった感じです。そこに賞与が夏・冬それぞれ、だいたい30万円くらいといった感じでした。
ですから、年収でいうと400万を若干切るくらい。ちなみに店長クラスで700万~1000万円くらいです。
僕が勤務していたお店ではオーナーの下が店長で、実質、オーナーと店長で店を回しているような感じでしたので、店長ともなるとこれくらいの年収はもらえているようです。
店長以下の役職がないため、下のものはそんなに大差ないと思います。
同じ店で勤めていた先輩いわく、ここの店は業界としては水準が高いほうだということを言っていました。その先輩は以前、他の店舗に勤めていたようですが、もっと給料が安かったようです。
僕の勤務先の釣具店は結構、特殊なケースなので、普通の釣具店の店員や店長でしたら、もっと安い給料かもしれません。
年収400万くらいなので、そこそこ悪くないように思えますが、冷静に考えてみると、かなり条件は悪いです。
建前上は、1日8時間労働となっていましたが、実際は、1日12時間労働、そのうち休憩は1時間。そう考えると、如何に条件が悪いかが、見えてきます。
拘束時間12時間なので、実質11時間労働。8時間労働で言えば1日3時間は残業していることになります。
1ヶ月ともなれば、22~23日は働いているので、60時間は残業していることになります。
釣具屋に勤務する前の職業なら、60時間も残業すれば、12万円弱はあるはずですが、釣具店はたったの手当4万円弱。
時給換算で残業1時間あたり800円程度で働いていたのです。
これで、いかに条件が悪いかおわかりいただけたでしょうか?
釣具屋って休みはとれるの?有給は使える?
釣具店で勤めていると、休みはほとんど取れません。
オンシーズンで、月間6日~8日、オフシーズンで月間10日くらいです。年間休日日数は105日~108日くらいです。
とくにGWやお盆はオンシーズンなので、一般企業のような長期休暇はありませんし、長期休暇がない分、オフシーズンで取れるか?というとそういうのもありません。
正月休みも、店の店休日で3日位しかもらえません。
個人的に連休を取りたい場合でも、2連休か3連休くらいが限界です。連続して休みを取ると、その分、どこかで10日連続勤務とかが発生します。
有給は使えません!
この辺は大手チェーン店のほうが、もしかしたら、きちんとしているかもしれません。
労基法的に完全にアウトなのですが、個人店なのでお構いなしです。普通の一般企業なら退職月は有給消化にはいるのですが、僕の場合は退職月もフルで出勤していました!
釣具店ってぶっちゃけ儲かるの?
儲かりません。
1本20数万円もする鮎竿、1台7万円近い高級リール
お客さんからすれば、すごい大金を支払っているので、さぞかし釣具店は儲かっているという錯覚に陥ります。
正直、僕も釣具店で働く前は、釣具って値段が高いから、結構儲かるよな?って思っていました。
だけど、内部事情を知れば知るほど、こりゃ自分でやろうとしたら無理だわって思いました。
1本20万円の竿や、1台7万円もするリールが売れて、果たして利益はどれくらいだと思いますか?
儲かっているのはメーカーだけ、小売店の利益は経営者次第
さて、正解です。
1本20万円の竿や1台7万円くらいする、フラグシップモデルのリールを売り上げたとしても店の利益はおよそ1割切るくらい。
2万円クラスのリールが1台売れたとしても、たった1000円弱しか利益にならないのです。
特に、シマノ、ダイワの大手メーカー製品は利益率が悪く、正直、最高級モデルが売れても嬉しくともなんともありません。
じゃあ、何で利益確保しているの?
これは、主に消耗品です。特にラインは利益率も高く、釣具店の生命線ともいえます。
あとは、ハリやオモリ、ウェアなどのアパレル類などです。ルアーはあまり利益率はよくありませんが僅かながら利益を生んでくれます。
ただ、ここはやはり仕入れがものをいうので、やはり如何に安く仕入れを行うかが重要となってきます。
釣具店が繁盛するかどうかというのは、経営者の腕次第というところでしょう!
僕が思うに釣具はかなり薄利なので、釣具店で成功されているオーナーさんが他の小売業をはじめたとしても恐らく成功すると思います。
釣具屋店員の本音のまとめ
今回、みなさんが気になっていることを自分の経験を踏まえまとめてみました。
個人的には、釣具屋店員はきついし、待遇も良くないと思っています。
自分でオーナーになるとか強い意志を持って、釣具店をやるのであればいいですが、雇われる側として釣具店の店員となるのはおすすめできません。
もし、釣具店で働いてみたいという方がいたら、この記事を参考にして、一度考え直してみてください。
P.S.
いつもは、釣りに関する情報をお届けさせてもらってますが、たまには、こういうぶっちゃけトークもありかと思います。
これからも、たまにぶっちゃけトークを書いていきますので、よろしくお願いします!